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花と光と風と…
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 Species Rose  (日本と中国の原種バラ・交雑種)   2008
 
 
 バラはヒマラヤで発生しその後北半球に広がったとも言われています。実際、南半球のオーストラリアやニュージーランドなどには自生種は存在しないと言われます。もちろん、近年の園芸熱で、ニュージーランドには多くのバラ園が存在していますが、もともと自生種はなかったようです。
 世界の国々の中でも、とりわけ中国は原種バラの宝庫で、プラントハンターによってヨーロッパに持ち込まれ、ヨーロッパの国々で盛んに行われていた品種改良に大きな影響を与えました

 中国からヨーロッパに持ち込まれた重要品種は4つあります。
①オールド・ブラッシュ、
パークス・イエロー・ティーセンティッド・チャイナ
③ヒュームズ・ブラッシュ・ティーセンティッド・チャイナ、そして
スレイターズ・クリムスン・チャイナです。
 皇帝ナポレオン・ボナパルトの皇后ジョセフィーヌは、マルメゾン宮殿にて数多くの近代バラの育成に尽力したと言われます。

 ナニワイバラ
 




ナニワイバラ
学名:
 Rosa laevigata
英名:チェロキーローズ
金楼子

花径 6~7㎝

花は一重咲きで、5弁の大輪
葉は3出複葉、
小葉は卵状楕円、
無毛で光沢がある
花期は5月~6月



中国中南部 原産
                        
 
 
つるバラ性で日本名「ナニワイバラ(難波茨)」と呼ばれるこの花は、中国南部原産で、中国から輸入してきたのが日本の難波商人だったことからそう呼ばれるようになりました。
原種系には珍しく、花は大輪、大ぶりで純白のため、大変目立ちます。
花色が淡紅色になるものをハトヤバラ(R.laevigata var. rosea)と呼びます。
果実のことを中国では金桜子[キンオウシ]と呼び強壮、強精、利尿剤として用いられています。ビタミンCも多く含まれます。

元は台湾、中国中南部からの移入で、和歌山県南部、四国、九州に成育しています。

花後の果実



 姫サンショウバラ
 



ヒメサンショウバラ
(姫山椒薔薇)
学名:
Rosa roxburghii normalis
(ロサ・ロクスブルギー・ノルマリス)
英名:
Chestnut Rose


中国南西部 四川省原産


  ヒメサンショウバラ(姫山椒薔薇)は、イザヨイバラの原型とされています。
原産地は、中国南西部 四川省といわれます。

 姫サンショウバラ    






 白モッコウ
 




白モッコウバラ(一重)
ロサ・バンクシアエ・ノルマリス
学名:
Rosa banksiae normalis
英名:Lady banks' rose

花茎 3㎝


中国西部 原産

 
 
この一重のロサ・バンクシアエ・ノルマリス(白モッコウバラ)が、八重モッコウバラの原形とされています。
 
一重の全景 白モッコウ(八重) 八重の全景




 黄モッコウバラ
 




黄モッコウバラ(八重)
ロサ・バンクシアエ・ルテア
学名:
Rosa banksiae lutea
英名:Banksia rose


花径 3㎝


中国原産

 
 
白のモッコウバラの変種で、日本には江戸時代、享保年間(1716~36年)に渡来しました。
通常、黄色を黄木香バラ、白を銀木香バラと分けているようです。
白モッコウには芳香がありますが、この黄モッコウに香りはほとんどありません。
種名『バンクシアエ』はイギリスの植物家のバンクス氏に因んでいます。






イザヨイバラ 
 




イザヨイバラ、十六夜薔薇
ロサ・ロクスブルギ・プレナ
学名:Rosa roxburghii Plena
英名:
chestnut rose

花径 7cm
咲き 返り咲き



中国~東南アジア 原産

 
 
イザヨイバラ(十六夜薔薇)というこの風流な名は、花の一方が欠けることから月にちなんで名づけられました。
でも時々、欠けることのない完璧な満月状の十五夜バラも見かけます。
 サンショウバラとコウシンバラの交雑種で株はサンショウバラに類似し、花托(かたく)はとてもイガイガしています。
蕾はまるでモスに覆われている感じ、葉はサンショウバラと同じ小葉で7枚です。
 香りはほとんどありませんが、藤色かかった桃色の花弁数は100枚をこえるほどで、とても華やかな雰囲気が楽しめます。


   



ロサ・ギガンティア 
 




ロサ・ギガンティア
学名:Rosa gigantea
和名:大花香バラ、ギガンテアバラ

花径 10~14㎝
一重 一季咲き
ティーの香り


ヒマラヤ山麓~中国雲南省原産


 
このロサ・ギガンティアは、ティーローズとそれに続くモダンローズに大きく影響を及ぼしています。その名前ギガンティアは(英語Giant=巨大な)、(ラテン語Giganteus=巨大な)から来るように、巨大な花を咲かせ、野バラの中では最大です。特に原種バラには珍しく、中大輪の花弁が反り返り、剣弁咲きのモダンローズの祖先とされています。

可愛らしいつぼみ



 ロサ・キネンシス・スポンタニア
 




ロサ・キネンシス・スポンタネア
学名:Rosa chinensis spontanea
英名:
Henry's Crimson China
中国名:单瓣月季花

花弁5枚、花径6~7cm
つる性、一季性


中国四川省原産
 
この『スポンタネア』は幻のバラと言われ、チャイナ・ローズの元となった重要なバラです。最近になって、日本人プラントハンターによって再発見された野生種で、未だ四季性ではありません

このバラ名:ロサ・キネンシス・スポンタネアの、「キネンシス(chinensis)」は、ラテン語の学名で、「中国(chinese)」を意味します。
また、英語名(Crimson)は、「真紅の」を意味し、本来のバラの色は真紅色です。
左の写真のバラは交配種かと思われ、淡いピンク色でした。




 ロサ・キネンシス・シングルピンク
 




ロサ・キネンシス・シングルピンク
学名:Rosa chinensis Single Pink
和名:一重庚申バラ


中国原産


  「一重のコウシンバラ」といわれ、花は一重で鮮やかなピンク色。後に色あせしますが散り際にまた色が濃くなります。
「庚申(コウシン)」とは、暦の干支の「きのえさる」のことで隔月に有り、60日ごとに繰り返し咲くという意味だそうです。すなわち、年中花が咲くと云う意味ですが、実際には四季咲きです。

キネンシス(Chinensis)独特の甘い香りがします。






コウシンバラ 




コウシンバラ
学名:
Rosa chinensis
ロサ・キネンシスオールドブラッシュ
英名:
Old Blush China

(別名) Parson's Pink China
  Common Monthly

 中国名: 月季花、長春花



中国原産






 
 
最初にヨーロッパに紹介された4種のチャイナ・ローズの一つで四季咲き品種のもとになりました。
バラの歴史の中では重要な働きをしている4つのうちの1つです。

別名の『Common Monthly』や『月季花』が示すように、次から次へと開花する特性があります。

コウシンバラ ロサ・キネンシス スレイターズ・クリムゾン
チャイナ
ロサ・キネンシス・
センパフローレンス
ロサ・キネンシス・エルモーサ ロサ・キネンシス・ムタビリス




 
 グリーンローズ
 




グリーン・ローズ
英名:
Green Rose
学名:
Rosa chinensis var.Viridiflora
ロサ・
シネンシス・ビリディフローラ
中国名:绿月季花 lu yue ji hua
青花(せいか)


中国原産

 上記のコウシンバラ の変種とされます。緑のバラの花とはいうものの,花のように見えるのは,葉に変化している花びらで,萼状になっています。微妙な赤みがさすものが多いようです。

 アイルランド民謡の「ザ・ラストローズ・オブ・サマー」(庭の千草)に詠われるのはこのバラという説もあるそうです。(…素敵!)

 グリーン・ローズは資料や図鑑によっては、オールド・ローズのNoisette(ノワゼット)に分類しているものもあります。

(実は、この花の葉化を引き起こしているのは、ファイトプラズマという細菌によるもので、よく見かけるグリーン紫陽花の葉化病と同様です。)

逆光に輝いて・・・

     



 パークス・イエロー・ティー・センティッド・チャイナ
 




パークス・イエロー・ティー・センティッド・チャイナ
学名:Parks's Yellow Tea-scented China
別名:Flavescens , Jaune ancienne , Rosa odorata ochroleuca Rehd.
中国名:淡黄香水月季


中国原産


 この『パークス・イエロー・ティー・センティッド・チャイナ』は1824年、イギリス人のパークスが、中国からロンドン園芸協会に送った品種です。





 ロサ・セリケア・プラテカンサ
 




ロサ・セリケア・プラテカンサ
学名:Rosa sericea pteracantha
英名:
Winged Thorn Rose


中国原産

  『セリケア」とは『絹糸状の』という意味です。
ピンピネフォリア系の原種で中国西部の山岳地帯に自生します。
英名のWinged Thorn Roseのとおり、翼状の赤い幅広のトゲが特長です。
白の一重の花びらが4枚つく珍しい花を咲かせます。

  

バラの実です 赤いトゲ




リージャン・ロードクライマー 
 




リージャン・ロードクライマー
学名:Lijiang Road Climber

一季咲き


中国雲南省原産


 
 
中国雲南省の麗江(リージャン)で発見された雲南省の麗江地域だけに見られる原種バラです。

 





 カナリー・バード
 




カナリー・バード
英名:Canary Bird

花径 5cm、 一重咲き

樹高 150~250cm位


中国原産ロサ・クサンティナの
交配種
 
 
中国北部が原産のロサ・クサンティナ(Rosa xanthina)の交配種といわれ、ロサ・ユゴニス(Rosa hugonis)を交配させたものと推定されています。極早咲き。
花の色は鮮やかなクリームイエローで、長い枝先は垂れ、シダのような濃い緑色の葉をつけます。

 
 
     
   



 ロサ・プリムラ
 




ロサ・プリムラ
学名:Rosa primula
ロサ・クサンティナ・ノルマリス


花径約5cm
中央アジア~中国原産


 
 
 花名 『プリムラ』 は 「最初の」 と言う意味で、他のバラに先駆けて早咲きします。
半つる性で垂れ下がる枝に連なるように花をつけるのが特徴です。

  

     

 
   




 
(以下の分類には、本来の原種だけでなく、原種同士が自然交配によりできた自然交配種も含まれています。また、文献などの情報も、いくつか違いが見られますので、あくまでも大まかな分類の一説としてください。)

   日本名 学名  ラテン表記   原産地  形質・性質
 ①  ノイバラ   ロサ・ムルティフローラ  Rosa multiflora     日本原産       房咲き性     
 ②  テリハノイバラ  ロサ・ルキアエ  Rosa luciae        日本原産 つる性
 ③    ロサ・ガリカ  Rosa gallica  フランス、ガリア地方  赤や桃色の花弁、
華やかな香り
 ④   ロサ・ダマスケナ  Rosa damascena  ローマ・ギリシャ、
ブルガリア
 豊かなダマスク香
 ⑤  庚申バラ ロサ・キネンシス  Rosa chinensis  中国原産  四季咲き、木立樹形
 ⑥    ロサ・ギガンティア  Rosa gigantea  ヒマラヤ山麓、ミャンマー、中国南西部  大輪の花、剣弁の花びら、ティー香
 ⑦    ロサ・モスカータ  Rosa moschata  西アジア、北アフリカ  濃厚なムスク香
 ⑧    ロサ・フェティダ  Rosa foetida  黒海沿岸、カフカース山麓  鮮やかな黄色の花弁