♪ 小さな私塾の先生から見た子ども達、風景、異文化の世界 ♪
花と光と風と…
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サクラスミレ  Spring, 2008 





サクラスミレ
スミレ属:Viola










  「スミレの女王」、サクラスミレ: V. hirtipes

 ついに「スミレの女王」のサクラスミレに出会いました。『日本のスミレ』や『岩手のスミレ』などの本で調べながらその形状を想像したりもしていましたが、岩洞湖畔の白樺林のかたわらに咲くその姿は、本当に可憐でしっとりした美しさと気品に溢れていました。色はごらんのように、桜のような薄紅色というよりは淡いやわらかな薄紫色です。花びらの先の真ん中が、桜のようにくぼんでいるものもあれば、そうでないものもあり、いろいろでした。

 スミレ類の中では最大の花をつけるとされるように2〜3cmはある大ぶりの花と、その花を守るようにはえる縦長のハート型の葉も大きくみごとでした。
花の中央には歯ブラシのような真っ白い毛が密集していて、中の芯は見えませんが、それがこのサクラスミレの特徴です。
 様々なスミレに出会い、その一つ一つの特徴に目覚めてくると、どうしても探さずにはいられなくなるのが、この『スミレの女王』、サクラスミレとのこと。私自身も、これで今年のスミレ探しにひと段落したような気がします。






 

 



 





エイザンスミレ

V. eizanensis




 高山植物の魅力は、何といってもその「希少価値」。どこでも日常目にすることができるわけではなく、つらくけわしい山登りの末に、やっとめぐり合えるからこそ、愛おしさも百倍になるのです。

 その意味では、スミレはあまりにも身近な存在で、希少価値こそないけれど、桜と同様に、長くきびしい冬の後にやっと訪れた『春』を感じさせてくれる存在として、昔から愛されてきた国民的アイドルではないでしょうか。
 雪が解けたばかりの林道や、排気ガスをあびる県道沿い、石段の割れ目やけわしい岩場など、どこにでも元気に根付き、けなげに生きる姿には、生命の尊さ、力強さを感じさせられ、勇気づけられます。

 左のエイザンスミレは、その中ではちょっと珍しいものでしょう。普通のスミレの葉は、心形(ハート形)が多いようですが、この葉はいくつにも細裂しています。エイザンという名前は、あの『比叡山』からとられたものだそうです。 去年初めて、花巻温泉の『釜淵の滝』付近で見かけ、今年も同じ場所で再会することができました。とても嬉しかったです。 





  



エイザンスミレ


ナガハシスミレ


タチツボスミレ


山路来て 何やらゆかし

すみれ草

スミレ


〈松尾芭蕉〉


V.vaginata スミレサイシン


V. rossii アケボノスミレ


タチツボスミレ


サクラスミレ?・・・でも葉が違います

むらさきに 菫の花はひらくなり

人を思へば 春はあけぼの

スミレ


〈宮柊二〉


フイリミヤマスミレ


V.vaginataスミレサイシン


スミレ

春の野に 

すみれ摘みにと 来し我れぞ

野をなつかしみ 

一夜 寝にける

ニオイタチツボスミレ


〈山部赤人〉


ケイリュウタチツボスミレ


ニョイスミレ


ミヤマスミレ


ニョイスミレ

スミレの名は、一説によると、昔の大工さんが印付けの為の墨を入れていた「墨入れ」に、形が似ていたことからきたそうです。

その「すみいれ」が「すみれ」に変化したのだそう。

ナガハシスミレ


V.rostrata ナガハシスミレ


スミレ


オオバキスミレ


キバナノコマノツメ


マキノスミレ


マキノスミレ


タチツボスミレ

ニオイスミレ
タチツボスミレ


これら最後の3つは、おそらく野生化した園芸種