♪ 小さな私塾の先生から見た子ども達、風景、異文化の世界 ♪
花と光と風と…
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スズムシソウ  Summer, 2008






スズムシソウ (鈴虫草)

 この花の形が鈴虫を連想させることから名付けられたとのこと。
 私にはとてもスズムシには見えないけれど、本当に蘭系のお花は、どれもとても不思議な形をしているものが多いようですね。この花は、子供の頃、指で人差し指と小指を上に突きたて、中指と薬指を親指と合わせて作った「キツネ」の顔に良く似ているとは思いませんか?そういう意味で、私的には、「コギツネソウ」の方がピンときますが、いかがでしょう。・・・実際には、薄茶色い半透明の花を正面から見ると、鈴虫の羽に見えるからです。

 ともあれ、このお花は、例のグリーン・サムを持つおばあちゃんのお庭に育った、みごとでとても美しい株です。

 もう一つは、クモキリソウです。これは漢字で、雲霧草、蜘蛛散草、雲散草の三つがあてられます。

これらは共に、リバリス属(クモキリソウ属)に属します。


スズムシソウ クモキリソウ クモキリソウ
     


キンセイラン  Summer, 2008






キンセイランとの遭遇

 キンセイランは、漢字で金星蘭、金晴蘭、金清蘭の三つが上げられます。どれを使うかはお好み次第なら、私は「金星蘭」を選ぶかも・・・。
 
 薄明るい森の中で、うっすらと光り輝くように立つキンセイランの姿は凛として気品があります。「明けの明星」「宵の明星」として薄暗くなった夜空に一段と光り輝く金星のその姿にも似て・・・。

 このキンセイランは寒地性エビネの仲間に属し、「最も高貴で、最も見飽きがしないエビネ」として賞賛する人も多いとのことです。

 日本はきわめてエビネの種類が多く、容易に自然交雑し、数多くのバリエーションがあるようです。日本産の自生ランは全て地生種で、あるものは群生し、あるものは点在します。エビネ属は、平地性エビネ、暖地性エビネ、寒地性エビネに分類されます。

 ちなみに、エビネは漢字で「海老根」と書きますが、その長く連なる地下茎(芋)を海老の曲がった背中に見立てたものだそうです。


川真珠貝 サナエトンボ
     


コケイラン  Summer, 2008







コケイラン(小慧蘭) [コケイラン属]

 まるで妖精の森に迷い込んだような明るい雑木林で、コケイランに出会いました。去年までは聞いたことも無い名前でしたが、エビネを探していた時にその名前を耳にして以来、花期が過ぎる前に是非一目みたいと願っていました。今日登った山は標高1000m程の山で、平地よりも涼しいため花期も遅く、コケイランやベニバナイチヤクソウ、ズダヤクシュなどが至るところに群生していました。木蔭と木漏れ日の加減が本当に絶妙で心地良く、耳元をなでる爽やかな風に心身ともに癒される一日となりました。

 ところで、植物は気の遠くなるほどの長い歴史の時間をかけて進化してきました。その歴史の途上で、コケやシダなどの花の咲かない植物(陰花植物)から、花の咲く顕花植物が発生し、その顕花植物から、やがて単子葉植物と双子葉植物に分かれてきました。そして双子葉植物の中で最も進化したものがキク科植物、単子葉植物の中で最も進化したものがラン科植物だとされています。

世界中にあるラン科植物の種類数は、およそ推定では、二万種くらいだそうです。


コケイラン オダマキ(白花) コケイラン
ギンラン コケイラン アオヤギソウ
     


サイハイラン  Summer, 2008







サイハイラン(采配蘭)

 こんなにきれいなサイハイランに最高のタイミングで出会うことが出来ました。盛岡近郊といってもそれぞれ温度差や環境の違いがあり、あるものは既に枯れかけていたり、あるものはつぼみであまり良い状態でなかったりで、今年はもうきれいな状態をカメラに収めるのは無理かしらと半ばあきらめかけていました。

 サイハイランの花の色は、地味な汚黄褐色のものが多く、このようにきれいな淡紫紅色のものはとても珍しいと思います。

 「采配」とは、戦国時代の軍陣で、大将が打ち振って指揮するのに用いた用具のことで、普通、厚紙を細く切ってフサを作り、これに柄をつけたものをさすそうです。そういえば、戦国映画で見たことがあるような気もします。

 クマガイソウと言い、アツモリソウと言い、そしてこのサイハイランと言い、どうして野生ランの名は、戦国時代の合戦と縁があるのでしょうね。
・・・しろうとの素朴な疑問です。


     


サカネラン  Summer, 2008







サカネラン(逆根蘭)

 先日、サクラスミレを見に行った帰り、白樺林と車道の間の明るい草原に二本だけクリーム色の植物が生えていました。車を降りて近づいてみると、サカネランでした。サカネランは腐生植物といって、全体に葉緑素が無く、普通は、薄暗い広葉樹林に生えているのです。和名は「逆根蘭」と書き、由来は地下茎が多数束出し、先がやや上を向いているからとのこと。手元にある図鑑のどれもが暗い中で写した為か、くすんだような色合いでした。ですからこの植物がそのサカネランだとは、にわかには信じがたいような違いを感じましたが、まず間違いは無いようです。

 ラン科の植物は成長力が弱く、自力で育つことが出来ないため、「ラン菌」と呼ばれるキノコの仲間を根に共生させて(菌根)、養分を吸収し成長します。おそらくこの地は、日当たりが良いけれど腐植土で湖の畔のため湿っているのが好条件だったのでしょう。ですから、私が出会ったこのサカネランは、日の当たる明るい緑の斜面に、きれいなクリーム色の姿で、スズランやベニバナイチヤクソウと共に元気に咲いていましたよ。

スズラン ベニバナイチヤクソウ
     


夏のラン  Summer, 2007
 去年の夏に出会った野生ランの写真をご紹介します。
去年は、あまり特別に思わなかったハクサンチドリなども、こうして改めて見てみると、とても素敵な花だなって感じます。今年になって「野生ラン」の魅力に目覚めはじめた私ですが、去年もいろいろと出会いはあったのだと今になって気づいています。「みんなちがって、みんないい」・・・!
 
ネジバナ ネジバナ ネバリノギラン
ハクサンチドリ サギソウ オノエラン
ハクサンチドリ ハクサンチドリ(白花) ハクサンチドリ
ハクサンチドリ(白花) ハクサンチドリ ハクサンチドリ(白花)
ノビネチドリ ギンラン ササバギンラン
アリドウシラン アリドウシラン コバノトンボソウ
キソチドリ タカネサギソウ ヤマサギソウ