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  エンレイソウ系譜 V 2018 (白花編)

エンレイソウ系譜
エンレイソウ系譜 U 2018 (赤花編)
エンレイソウ系譜 V 2018 (白花編)
エンレイソウ系譜 W 2018 (世界編)


ミヤマエンレイソウ(深山延齢草、学名:Trillium tschonoskii , 別名:シロバナエンレイソウ


シュロソウ科エンレイソウ属の多年草。別名、シロバナノエンレイソウ。
太く短い根茎から、高さ20〜40cmの茎が1本伸び、その先端に3枚の葉を輪生する。葉は葉柄を持たず、茎から直接生ずる。葉の形状は丸みを帯びたひし形で、直径は10〜20cm程度。3枚の葉の中心から短い花柄が伸び、3枚の外花被片と3枚の白い花弁状の内花被片、6本の雄蕊をもつ花を生じる。
オオバナノエンレイソウに似るが、花は本種の方が小さく横向きからやや下向きに咲く。内花被片は外花被片とほぼ同じ長さ。どちらも先端がとがる。子房は白に近いクリーム色。まれに紫色の斑点がある。葯は花糸とほぼ同長。

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大型で華やかな印象を持つ持つオオバナノエンレイソウに比べると小さめで、いかにも「深山型」の素朴な印象がありますが、花びらも子房も雄しべも全て純白で本当に美しいと思います。
オオバナノエンレイソウのように大きな群落を作ることもなく、株立ちもしません。早春の山道に、スプリングエフェメラルの花々に囲まれるように、ポツリポツリと咲いている印象があります。






 
 
   








   
ムラサキエンレイソウ(紫延齢草、学名:Trillium tschonoskii f. violaceum Makino

   
シュロソウ科エンレイソウ属の多年草。ムラサキエンレイソウは、ミヤマエンレイソウ(シロバナエンレイソウ)の変種で、ミヤマエンレイソウは内花被片が白色であるのに対してムラサキエンレイソウは淡紅紫色を帯びるのが特徴。
葉は菱状楕円形で3枚が輪生し、先端がすぼまるように尖っている。子房を取り囲むように黄白色の雄しべが6個あり、雌しべの柱頭は3裂して反り返る。
シロバナエンレイソウの変種で、3個の内花被片が淡紅紫色を帯びている。
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ミヤマエンレイソウの中には、花が開花してから盛りを過ぎた頃に、色素が濃縮して(?)、うっすらとうす紫色に変化するものがあり、ミヤマエンレイソウの変種とはみなされないものもあるようです。
上記の写真は、カワユエンレイソウの群生地に、混じって咲いていたムラサキエンレイソウで、開花して間もないもので、美しいピンクがかった薄紫色の美しい花でした。



  
   
   
   



   
エゾミヤマエンレイソウ(蝦夷深山延齢草、学名:Trillium tschonoskii var.atrorubens

   
シュロソウ科エンレイソウ属の多年草。
山地の広葉樹林内等に生育し、背丈は30〜70cm位。
エゾミヤマエンレイソウは、ミヤマエンレイソウの変種で、ミヤマエンレイソウの子房はふつうクリーム色、希に紫色の斑点があるが、本種の子房は暗い紫色をしているのが特徴。 葉は3枚輪生し、広卵状菱形で先はとがる。花は茎頂から出る柄の先に1個、横〜斜め下向きに付く。花弁は長卵形でガク片とほぼ同じ長さで3p前後、先が尖り、葯は花糸とほぼ同じ長さ。果実は円錐形で6稜が顕著。
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このエゾミヤマエンレイソウは、子房が薄紫、もしくは淡い暗紫色に色づくのが特徴です。ところが、その色合いが濃い目で、さらには子房の根元から先にかけて走る6つの稜にクリーム色のラインが見られるものがあり、判断に困惑しています。子房全体が暗紫色、もしくはほぼ黒色に近いものは、チシマエンレイソウと言われますが、その中間のように見えるものをどう判断するかが課題です。
どの図鑑にも、ブログ情報にも見つけられずにいます。どなたかご指南をお願いいたします。



   
 
 
 
   




   
チシマエンレイソウ(千島延齢草、学名:Trillium camtschatcense var. kurilense

   
シュロソウ科エンレイソウ属の多年草。
低地〜亜高山帯の湿地や林内などに生え、茎の高さは30〜70cm。茎頂に直径5〜7センチの白色の花を1個つける。外側に緑色の萼(外花被片)、内側に白い花弁(内花被片)がそれぞれ3個ある。雄しべは雌しべよりも長く、葯は花糸の約3倍。葉は茎頂に3個輪生し、菱形状広卵形。
オオバナノエンレイソウの変種とされ、それに似るが、本種は子房全体が黒紫色を帯びる。


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 こちらのチシマエンレイソウは、白い絹のドレスをまとい、胸には黒い大きなダイヤモンドを飾った貴婦人のように見えますね!
黒紫色とも黒色ともとれる子房の色は、全体が真っ黒一色のものと、ほんのりと薄めの色が混じっているものもあり、上記のエゾミヤマエンレイソウと区別の仕方に迷いを生じてしまいます。


   
 
   
   





   
シラオイエンレイソウ(白老延齢草、学名:Trillium tschonoskii var.atrorubens



シュロソウ科エンレイソウ属の多年草。
北海道の白老町で発見されたのがこの名前の由来。シロバナエンレイソウとオオバナノエンレイソウの交雑種で、茎の高さは30〜40cm。全体に大型で、茎も太く、株立ちになる傾向がある。このシラオイエンレイソウには、3倍体と、果実が完熟し種子繁殖ができる6倍体が知られ、6倍体の産地はごく限られている。両者の違いは果実の形で見分けることができる。
子房の先端は紅紫色になり、オオバナノエンレイソウに似るが、雄しべは雌しべよりも短い。葯の長さは、花糸の約2倍。花が横向きに咲く傾向がある。それに対し、オオバナノエンレイソウは、上向きに咲き、雄しべは雌しべ(子房)よりもはるかに長い。その他、シラオイエンレイソウの顕著な特徴には、花弁の縁や葉が波打つという点が挙げられる。

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シラオイエンレイソウは、オオバナノエンレイソウとシロバナ(ミヤマ)エンレイソウの自然交配種ですが、一番大柄で、花弁や葉柄も波打っており、さしずめハーフの大型美人といったところでしょうか。基本3種にはない洋種的な華やかさを感じます。
この最下段の右側の写真は、2018年5月、渡島地方の海岸線の山地で見ましたが、今までに見たエンレイソウ属の中で最も大きな花びらでした。一枚の花弁の長さが約9cmほどあり、本当に驚きのサイズでした。通常のサイズは、大きめでも4〜5cmだと思います。異常なほどの大きさであったことは確かです。そのガク片も非常に大きく見事でした。
素人判断ですが、土壌の栄養状態が良かったからとかではなく、なにか突然変異で巨大化したような印象でした。
 





   
カワユエンレイソウ(白老延齢草、学名:Trillium Cnannellii



シュロソウ科エンレイソウ属の多年草。
高さ20〜40cmの多年草。
1996年に発見された川湯地方の固有種。
オオバナノエンレイソウとミヤマエンレイソウの特徴を持つことから、両種の交配種だと言われる。しかし、オオバナノエンレイソウとミヤマエンレイソウが混在している地域は多くあるが、カワユエンレイソウが見られるのはこの地方だけ。故に、つつじが原などの独特の埴生を作り出しているアトサヌプリが影響しているのではないかと考えられている。

川湯地方では、このカワユエンレイソウと、オオバナノエンレイソウが混在しているエリアが随所にあるが、カワユエンレイソウは横向き、オオバナノエンレイソウは上向きの為、容易に判別できる。
またカワユエンレイソウは、雄しべと雌しべの長さが同じである。

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2010年以来のエンレイソウを追い求める散策で、ついに2018年5月、川湯地方にのみ咲くこのカワユエンレイソウに出会うことができました。
真夏に少女がまとう純白のパフスリーブのような愛らしい小型の丸い花びらは、この上も無く美しく魅力的でした。
オオバナノエンレイソウとミヤマエンレイソウの両親を持つ、もう一つの種、シラオイエンレイソウに比べると、はるかに小型で形状もかなり整っている感じがしました。
また、子房の先端の色合いも、オオバナノエンレイソウやシラオイエンレイソウは先端が暗紫色であるのに対し、このカワユエンレイソウは、明るめのワインレッドなのが特徴のようです。

 
 
 
初めて口紅をさした乙女のよう・・・   





   
★オオバナノエンレイソウ★ミヤマエンレイソウ★エンレイソウ★群生地での発見!


新しいエンレイソウ種 誕生の可能性?

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ここは、道南の北斗市にあるキャンプ場の近くです。小〜中規模程度のエンレイソウの群生地があります。ミヤマエンレイソウ、オオバナノエンレイソウ、エンレイソウの3種が、長い積雪の季節から雪解けを待って、一斉に開花したところでした。よくよく見ると、それぞれが面白いほどに交じり合って、隣り合わせになり、混群を形成しているのです。
いずれは、これらの3つの基本種を元とした、新しいエンレイソウの交配種がどんどん作られていくのではという期待感を感じさせられました。そして、その群生地からすぐ近くにあるニリンソウの群生地のど真ん中に、上記トップの白花の株立ちを発見しました。蟻が運んできたのでしょうか。このエンレイソウは、一見したところ、近場にあるエンレイソウ3種とは形状が異なり、シラオイエンレイソウのように見えました。ある意味ではカワユエンレイソウに近いようにも見えますが、株立ちしていますので違いますね。専門家によるゲノムの解析を期待したいと思います。

いずれにしても、エンレイソウは種子から開花するまでに10年近くの歳月を要すると言われますので、どんどん新しい種の予備軍が芽生え始めているのかもしれませんし、やがてこの辺には、基本種エンレイソウ(オオバナノエンレイソウ、ミヤマエンレイソウ、エンレイソウ)を親とするヒダカエンレイソウやトカチエンレイソウにも出会えるチャンスが到来するかもしれませんね!勿論、シラオイエンレイソウ、カワユエンレイソウや、ソウヤノエンレイソウにも・・・?!
楽しみです。

最下段の一枚は、同じ場所で一年前に写したものですが、最初、オオバナかとおもっていたのは、どうやらシラオイエンレイソウだったようです。
ちなみにシラオイエンレイソウは、最初、白老町で発見されたからそう名づけられましたが、オオバナとミヤマエンレイソウがあれば、道内どこにでも生育します。
  
エンレイソウとミヤマエンレイソウの混群 
エンレイソウの背後にはオオバナノエンレイソウ
シラオイエンレイソウも!! 





   
ソウヤノエンレイソウ(宗谷延齢草、学名:Trillium camtschatcense var soyanum)

シュロソウ科エンレイソウ属の多年草。
高さ20〜40cmの多年草。
本種は、オオバナノエンレイソウの一変種で、子房の先端部が緑色をしていることが特徴。
それに対し、オオバナノエンレイソウの先端部は濃い紫色である。

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ほとんどの図鑑にもネット情報にも見られない、このソウヤノエンレイソウのことを知ったのは、2018年5月の終わり、ほとんどのエンレイソウの開花時期が終わる頃でした。このソウヤノエンレイソウの子房の先が緑色だということが特筆すべき顕著な特徴のようです。唯一、梅沢俊氏の『北海道 春の花 絵とき検索表U』に見つけることができました。
これがソウヤノエンレイソウなのかは未知数ですが、ミヤマエンレイソウとはかなり形状が違うし、オオバナノエンレイソウのように子房に暗紫色はないし、可能性はありと見ました。何よりも、子房の先端が淡い緑色をしています。そして、オオバナノエンレイソウの雄しべは子房よりもかなり長めですが、これは雄しべの長さも同等か短めだからです。

 



エンレイソウ属は、花弁を持つものと持たないものの2種に大別され、また花弁を持つものは、白花か赤花かに大別されます。そして白花を持つものは、オオバナノエンレイソウとミヤマエンレイソウの系列に分けられます。またそのオオバナとミヤマの両種の自然交配種であるシラオイエンレイソウとカワユエンレイソウもあります。

2018年の5月も終わりの頃、今まで聞いたこともなかった「ソウヤノエンレイソウ」なるものの存在を知りました。調べてみると確かに、梅沢俊氏の「北海道春の花『絵とき検索表U』」にも載っていたのですが、ほとんどのネット情報などではこの種が取り上げられたことはなかったようです。でも希少な情報によると、このソウヤノエンレイソウの特徴は、「子房の先が緑色」だということでした。それなら今までも目撃したことがあるし、写真もあるはずと思い、我が家の写真データの検索をするうちに確かにそれらしきモノが見つかりました。それが上記の写真です。これらがそのソウヤエンレイソウに該当するのかは未だ分かりませんが、来年の楽しみに取っておこうと思います。


 様々な資料情報では、「日本全国に自生するエンレイソウは9種」あり、北海道にはその全種が自生する。・・・として「エンレイソウは9種」という分類法が根強く存在するようです。
様々な図鑑や文献、愛好家の方々のネット情報などを調べても、その「9種」というのが一体どれを指すのか、これまで定かではありませんでしたが、その後、『ファウラ』という北海道の美しい自然を特集した季刊誌に、北大の大原雅教授監修のエンレイソウ特集の記事があり、その中で、その9種への言及がありました。それが以下の通りです。

@ エンレイソウ 
A オオバナノエンレイソウ
B ミヤマエンレイソウ(シロバナノエンレイソウ)  
C トカチエンレイソウ 
D ヒダカエンレイソウ  
E シラオイエンレイソウ (3倍体) 
F シラオイエンレイソウ (6倍体) 
G コジマエンレイソウ   
H カワユエンレイソウ    


この分類には、専門的な染色体の(3倍体)(6倍体)という用語が含まれており、こうしたゲノム解析は私たち素人の域をはるかに超えてしまいます。また、梅沢俊氏の「北海道春の花『絵とき検索表』」にあるソウヤノエンレイソウは含まれていません。故に、やはりエンレイソウは種間雑種が生じやすく変種や個体差の域なのかどうかも含めて、分類は一筋縄ではいかない気がしてきます。
でも専門家(その道の第一人者)の分類としてとても参考になりました。
                
  (続きをご覧ください!) (ページの容量の関係で、分割しました)

 
エンレイソウ系譜
エンレイソウ系譜 U 2018 (赤花編)
エンレイソウ系譜 V 2018 (白花編)
エンレイソウ系譜 W 2018 (世界編)

*参考資料
・新版『北海道の高山植物』 梅沢俊 (北海道新聞社)
・北海道 春の花 『絵とき検索表』 梅沢俊
・「エンレイソウ属の花たち」(ファウラ)本間秀夫/大原雅
・「エンレイソウ」(Wikipedia オンライン辞書)
・花を愛してやまない山野草愛好家の皆様のブログも参考にさせていただきました。

掲載した写真は、全て私(このHP管理主)が撮影しました。著作権は当方に帰属します。