♪ 小さな私塾の先生から見た子ども達、風景、異文化の世界 ♪
花と光と風と…
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フタバアオイ 双葉葵    Spring, 2019 





復元された松前城
(正式名称は、福山城)
安政元年(1854)
日本で最後に作られた日本式の城

 


道南には、五稜郭と並ぶ桜の名所である松前城があります。ここには、約250種、1万本の桜の木々が、約1ヶ月にわたり次々と開花し、訪れる人を楽しませてくれます。そんな桜のシーズンに、あるお花との出会いを求めて、またまた松前公園を訪れてみました。

それは、徳川家の家紋である「三葉葵」「葵の御紋」のモデルとなった「双葉葵(フタバアオイ)」のお花です。実際、「三葉葵」と言う植物は存在しません。
フタバアオイは、その独特の紋様をもつ2つの葉が、根元から立ち上がっています。その美しい葉を3枚合わせたのが、徳川家の「三葉葵」となります。その「葵の葉」の紋様にあこがれて、探し求め、ようやくこの地に行き着きました。
由緒ある歴史をもつ龍雲院の良寛お上人様にお願いして、その寺院の裏庭に咲くこの花を見せていただきました。念願かなって本当に嬉しいです。
 




ありとあらゆる様々な桜の花が
次々と開花していきます




 




みごとなお花畑が、あちこちに…





 




白花蒲公英  シロバナタンポポ
Taraxacum albidum Dahlst.
white-flowering Japanese dandelion
キク科タンポポ属

龍雲院は、このお花でも有名です




双葉葵(フタバアオイ)
Asarum caulescens Maxim.
ウマノスズクサ科

 
 




双葉葵の花

花は普通二枚の葉の間に一つだけ
・・・でも、これは二つあります
よく見てみると、二本の葵が絡まっていました
そのために二つの花に見えたのですね!


 




シロバナタンポポ

地元松前では、通称「シロタンポポ」として
親しまれています








赤紫のお花は
優しい産毛に包まれています


 
 




フタバ葵の花

中はまるで「宝石」のよう!





 




…これが徳川家の「葵の御紋」のモデル
となった葵の葉です!
感無量!





 


双葉葵(フタバアオイ)




 












 




双葉葵(フタバアオイ)

神々しいほどに美しい紋様です!





 




双葉葵(フタバアオイ)

まさに、「ハート型」!





 







 




センボンヤリ (千本槍)
Leibnitzia anandria
キク科センボンヤリ属

別名、ムラサキタンポポ



 




キバナノカタクリ (黄花片栗) (外来種)
Erythronium pagoda

もう一つ、龍雲院に咲く このお花も
多くの人を惹き付けていました



 




龍雲院の『蝦夷霞桜』
エゾカスミザクラ

函館戦争で焼失を免れた
唯一のお寺です
1625年に創建されました


 




キランソウ  金瘡小草
Ajuga decumbens
シソ科キランソウ属





 




『血脈桜』 (南殿)

この木の精が、乙女の姿となって
現れたという伝説が
残されています


 




光善寺の『血脈桜』

後水尾天皇から山号と法衣を
賜ったとされるお寺
1533年に創建されました


   
 先日、「かの戦国武将たちが植物を愛していた。」という説を唱えるある本を読みました。
戦国の革命児の異名を持つ、かの織田信長は、ある意外な花を愛でていたといいます。
莫大な財力と権力で天下を統一した豊臣秀吉は、派手好みで有名でしたが、人生の最後に
所望したのが、「桜の花を愛でること」だったと言います。
そしてその中でも、特筆すべきは、戦国の世を終わらせ泰平の世を築いた徳川家康であり、
家康は、専用の薬草園を持つほどの「植物オタク」であったというのです。
そして自ら煎じた薬草で長生きをしてライバルを退け、植物資源を活用した植物都市、江戸を
築きました。常に死と隣りあわせで、戦さと権力闘争に明け暮れているイメージのある武将達が、
繊細な眼差しで植物を観察し、その特徴を知り尽くし、その魅力も知っていた。武将達は
その植物を戦いに利用し、城作りに利用し、農業に利用し、領国経営に利用した。
当時の武将達にとって植物は、武器であり、戦略物資でもあったのだと言うのです。
そして家康は、まさに植物の知識で天下人になったと言えると、この本は結んでいます。
とても面白い視点だと思います。