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アオサギ、 ゴイサギ、 ホシゴイ     Part2     2019





アオサギ 蒼鷺

ペリカン目サギ科
学名:Ardea cinerea
英名:Grey Heron





まさに、「アオサギ」そのもの?!
太陽の舟に乗ることが許されるほど
珍重された存在?






アオサギ 蒼鷺  (冬羽:12月)






紅葉を背景に、オシドリの群れとのコラボです!
この幻想的な光景・・・素敵でした!











(夏羽:5月)






アオサギ (夏羽:4月)





















 ここ北海道では、サギの仲間の中で一番遭遇回数の多いのが、この「アオサギ」です。ダイサギにも負けないくらいの大柄な肢体で、美しいすらりとした姿ですが、それ程人気は高くないように思われます。
 たしかにこのアオサギの「白と灰色がかった蒼白」は、仏教の「薄墨」、「弔」を思わせ、婚姻色や繁殖期の華やかさを過ぎた後のアオサギが水辺に佇む姿は、人生をストイックに生きる仙人のようにも見えてきます。

 古代エジプト神話では、アオサギは「ベヌウ」という聖なる鳥、神様として扱われていたと言われます。そのエジプト神話には、「太陽神ラー」と「冥界の王オシリス」が登場しますが、ベヌウはオシリスの冠をかぶっており、オシリスと同一視されていました。また、「ベヌウ」という名前は「上る」「輝く」という言葉でもあり、「太陽神ラー」とのかかわりも見られます。ナイルの川面から陽が登ると飛び立つ。そういうところに由来されているとも思われます。

私が滞在経験のあるイギリスやカナダでは、この「サギ」のことを「Heron」とよび、マイナスなイメージはなく、むしろ好まれ崇められてすらいたように記憶しています。
実際、フェニックス(不死鳥)のモデルとも言われます。

そして、「白鷺」の仲間の英語名は
①ダイサギ:  Great Egret
 亜種:ダイダイサギ、
 亜種チュウダイサギ
②チュウサギ:   Intermediate egret
③コサギ:     Little egret
④カラシラサギ: Chinese egret
⑤アマサギ:   Cattle egret
…となります。

何故か白鷺(白いタイプのサギ)は egretとなり、
アオサギだけは、grey heron となります。






夕暮れ時に佇む…まさに蒼いサギ





エジプト壁画の「ベヌウ」
いかに大事に扱われた特別な鳥
だったかが、うかがわれます。





エジプトの壁画に見る「ベヌウ」










首を縮めると、こんな感じ!




首を伸ばすと、こ~んな感じ! (4月)




アオサギ (夏羽:9月)










エジプトの「死者の書」に描かれた「ベヌウ」
まさに「アオサギ」ですね!





 ゴイサギ



 ところで、姫路城は別名「白鷺城」と呼ばれます。さて、「白鷺城」は英語にどう訳せばよいでしょうか?
姫路市のホームページによれば、
White Heron Castle 」となります。
ところで、「白鷺城」の読み方は、通称は「しらさぎじょう」とされていますが、正解は「はくろじょう」です。「白鷺城」は漢学者の命名であり、漢学的に読むのが正しいとされます。姫路に古くからある白鷺中学、白鷺橋、白鷺町はそれぞれはくろちゅうがく、はくろばし、はくろちょうと呼びます。だから、本当は「しらさぎじょう」は正しくないのですが、「しらさぎじょう」が一般的になっています。

さて、この「しらさぎ」ですが、実は「しらさぎ」という鳥はいないのです。「しらさぎ」はコウノトリ目サギ科のうちほぼ全身が白いサギ類の【総称】なのです。正確にはダイサギ(Great Egret)、チュウサギ(Intermediate Egret)、コサギ(Little Egret)がそれに含まれます。

オンライン辞書:『Wikipedia』 によると、
 ・・・ Egrets are not a biologically distinct group from the herons, and tend to be named differently because they are mainly white and/or have decorative plumes.

つまり Heron(サギ)のうち白いものを Egret と呼ぶのです。そして生物学上の違いは無いとのこと。数多いサギの仲間の中で、全身が白いもの、そして装飾的な羽を持っているものを総称しているというわけですね。
ですから白鷺城は 本来はEgret Castleの方が適訳となるのではと思われます。

お次はゴイサギですが、「ゴイサギ」の英語名は、アオサギと同様に、「Heron」を冠します。白鷺類が「Egret」と冠するのに対し、アオサギとゴイサギは共に、「白いサギ」ではない為、「Heron」という仲間になるようです。そして夜行性のため、「Night heron 」という英語名がついたのでしょう。面白いですね。







ゴイサギ (夏羽:2月)






夕暮れの川辺でフィッシング
この後、日が落ちて暗くなった水面を
嬉しそうに舞いながら、
なおフィッシングを続ける姿が…
とても印象的でした。
サギには珍しい夜行性なのですね

実際、このゴイサギの英語名は
Black-crowned night heron
Night heron
」といいます
夜に活動するからでしょうか





江差の海









ゴイサギ (7月)

学名:Nycticorax nycticorax,
英名:Black-crowned night heron
Night heron






目の前の田んぼに降り立ったペア (7月)







駒ケ岳 (森町から)






ホシゴイ (ゴイサギの幼鳥)









ホシゴイ (ゴイサギの幼鳥)