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白鷺の仲間たち、 ダイサギ、 チュウサギ、 コサギ、 アマサギ  Part1     2019





ダイサギ   大鷺

ペリカン目サギ科
学名:Ardea alba Linnaeus,
英名:Great Egret

















香雪園の新緑






 サギといえば白い体が特徴で、名前は「シラサギ」だと思っている人も多いのですが、実はシラサギという名前のサギは存在しません。シラサギというのは、あくまで全身が白いサギ類の総称で、日本ではダイサギ・チュウサギ・コサギ・アマサギなどがシラサギと呼ばれています。
もともと白いサギは全てシラサギと呼ばれていたのですが、標準和名を付ける時に体の大きさで区別し「ダイ(大)サギ」「チュウ(中)サギ」「コ(小)サギ」と名付けたというわけです。

サギはペリカン目サギ科に属する鳥で、世界に65種、日本には19種が生息しています。
日本では年間を通じて同じ場所にとどまっている種類(留鳥)、越冬するため冬季になると日本に渡ってくる種類(冬鳥)、繁殖のために日本よりも南の国から渡って来て夏を過ごす種類(夏鳥)の3つの種類のサギがいます。

ちなみに、これらの良く似た「ツル」、「コウノトリ」、「サギ」の分類は…、皆良く似た近縁種かと思いきや…

①ツル: ツル目ツル科
②コウノトリ:ペリカン目トキ科
③サギ:ペリカン目サギ科

そして、この「サギ科」の中の「白鷺」を分類すると
①ダイサギ(亜種:オオダイサギ、亜種チュウダイサギ)
②チュウサギ
③コサギ
④カラシラサギ
⑤アマサギ
…の5つのタイプに分けられます。

今回、この「白鷺」に注目しようと思ったのは、この道南地区では、夏だけでなく留鳥として越冬しているらしき、ダイサギにも、「亜種オオダイサギ」と、「亜種チュウダイサギ」の2種類があると知ったからです。そしてこれまで撮った写真の在庫を調べたところ、ありました!ありました!
その「チュウダイサギ」らしき白鷺が…!!

未だ、「カラシラサギ」にはお目にかかっていませんが、きっと今年は出会えるかな?
…という期待感が湧き上がってきます!
(2022年秋、コサギとヘラサギに遭遇しました)

 (注)最初は、いくつかの資料にのっとり、ダイサギの亜種2つを、ダイダイサギと、チュウダイサギと書きましたが、いくつかの別の説があり、
①亜種ダイダイサギ→亜種オオダイサギ→亜種ダイサギ
②亜種チュウダイサギ
とありましたので、ここでは、①をオオダイサギと呼ぶことにします。





クジャクチョウ



 オオダイサギ (ダイサギの亜種)



「ダイサギ」は、クチバシと首が一際長いシラサギ類で、アオサギと並ぶ最大級のサギ。コサギなどより脚が長いので、より深い水の中をエサ場として利用することができます。普段は小さな群れや単独で行動し、繁殖期になると混合コロニーをつくります。国内には、2つの亜種が生息します。それが
①オオダイサギ ②チュウダイサギ …です。

亜種オオダイサギの冬羽の時期は、足の色は 黄白色あるいは淡色です。
ダイサギは目の下の嘴の切れ込み(口角)が長いのが特徴で、目の後ろまで伸びています。
亜種オオダイサギも、チュウダイサギも同様です。 





オオダイサギ (冬羽:2月)









函館山 遠景





フィッシュ・キャッチの瞬間!!










亜種オオダイサギ (冬羽:2月)

学名:Ardea alba Linnaeus,
英名:Great Egret





まさに、パリコレのスーパーモデル!!
…でもこの附蹠が黒いってことは
これはチュウダイサギでしょうか?

サギの中でも最大種のアオサギを標準として、
アオサギと同じかより大きい亜種がダイサギで、
アオサギより幾分小さい亜種がチュウダイサギです。
ダイサギ≧アオサギ>チュウダイサギとなります

ますます、混乱してきますが…???
<冬羽>では
①両亜種とも嘴は黄色
②チュウダイサギは脛(すね)が黒色か淡黄色で、 脚の先、附蹠(ふしょ)は黒色
③オオダイサギは、脛は淡黄色、もしくは黄色で、附蹠もまた同色、脚全体に色彩の変化は無し

つまり、冬の時期は、脚の先を見ればこの2亜種の区別はつくことになります
 





 チュウダイサギ (ダイサギの亜種)
 




チュウダイサギ (夏羽:5月)
夏は嘴が黒い、目元が青緑色
繁殖期の「レース状の飾り羽」が美しい!







チュウダイサギ (夏羽:5月)
足は赤黒く、嘴黒くて、目元も青緑色!







この図は、以下からお借りしました。

大阪南港野鳥園

「附蹠」は、一見すると人間の膝部分に見えますが
実はかかとにあたります。
「附」は、「きびす」を意味し、「かかと」のこと。
「蹠」は、「足裏」です。







チュウダイサギ (冬羽:2月)
足が全体的に黒い、嘴は冬は黄色い




 
 



チュウダイサギ (夏羽:5月)

学名: Ardea alba modesta Gray
英名:Great Egret

日本国内では夏鳥として見られ、一部、越冬します。
亜種オオダイサギより、わずかに小さい。
夏は嘴(くちばし)が黒い、目元が青緑色
(注)オオダイサギも、夏羽では目元が青緑色
になりますが、この写真は足が黒色なので
チュウダイサギと判定しました

くちばしの色は繁殖期と非繁殖期で色が異なり、
繁殖期の夏は黒色で、
それ以外の非繁殖期には黄色
になります。

繁殖期にはくちばしの色の変化以外にも
胸や背中に長い飾り羽が現れたり、
目の周りが青くなる「婚姻色」が現れることがあります。


この中で、ダイダイサギとチュウダイサギの
最も大きな判別点は、足の色
・オオダイサギの足⇒黄色、黄白色
・チュウダイサギの足⇒全体に黒い(冬)










チュウダイサギ  (夏羽:5月)





足(附蹠)は黒いけど、すねは赤い
やや婚姻色のようです
冬羽~夏羽への変換期でしょうね

それにしても、この趾(あしゆび)の大きいこと!

<夏羽>では、ある愛鳥家によると、
チュウダイサギは黒っぽい脚全体にピンク色が淡く乗っった感じであり、オオダイサギでは、黄色っぽい脚全体にこのピンク色が乗ったような印象だとのこと。
しかし、個体差も大きく、繁殖前、繁殖中、繁殖後の色彩変化という要因も入ってくるようです。

このように夏羽の時期も、両亜種の違いは、やはり脚の色に顕著に表れるようですね。




チュウサギ
 




チュウサギ  (中鷺)

学名:Egretta intermedia
英名:Intermediate Egret
ペリカン目サギ科アオサギ属









 


チュウサギは、 中くらいの白いサギ、すなわち、ダイサギやアオサギより小型のサギで、繁殖期には他のシラサギと同じように胸や背中に飾り羽が生えます。
クチバシは春から初夏にかけて黒くなり、それ以外の時期は黄色く、脚は年中黒い。冬羽では 嘴は黒、目元は黄色。足は全体に黒色。

ダイサギは口角の切れ込みが、眼の後まで伸びていますが、チュウサギは目の下の切れ込みが眼の真下で止まっています。これが一番の特徴かな。

また、頭が丸い感じで、クチバシの長さは他の白鷺の仲間の中で一番短めです。
 






コサギ 





コサギ 、(小鷺)

学名:Egretta garzetta
英名:Little Egret
ペリカン目サギ科コサギ属

 2022年初秋、ついに道央石狩浜近くで遭遇!
既に冬羽に換羽しており、夏羽特有の長い冠羽は見られず、短い名残が後頭部にあり。
クチバシはチュウサギよりも長く黒い。冬羽では下クチバシが淡色に変化する。





黄色いソックス
…というよりは黄色い地下足袋?
五本指ソックス!


 


 2022年晩夏の候、ついに憧れの「コサギ」に出会うことができました。全国的には白いサギのうち、最も数が多いとされていますが、北海道では稀な旅鳥のようで、春、秋の渡りの頃に水場に立ち寄るだけです。

 ダイサギやチュウサギたちに混じって、幼鳥とおぼしきひときわ小さな体で一生懸命エサ捕りに熱中しています。周年長く黒いクチバシ、黒い脚に、黄色い足指、後頭部には長く白い飾り羽が2本あります。これは夏羽の特徴であり、冬羽に換羽したばかりの今の時期には見られませんでした。かすかに名残の短い羽が残っていましたが…。春の渡りの時期にはその長い冠羽(飾り羽)を是非とも観察したいものです。

 もう一つの特徴の黒い脚に黄色いソックスをはいたような姿は、しっかりと撮影できました。ご覧ください!











カラシラサギ


(残念ながら、未確認)

カラシラサギ  (唐白鷺)、
学名:Egrettta eulophotes
英名:Chinese Egret







(乞う、ご期待!)

…会えるかな???



 アマサギ





アマサギ  (黄毛鷺)) 
学名:Bubulcus ibis
英名:Cattle Egret
ペリカン目サギ科アマサギ属













夏は、頭部から首、背中の羽がオレンジ色。
冬は、全身が白色。コサギより小さく、クチバシが橙黄色で脚は黒。本州から九州に飛来する夏鳥。冬は南方へ渡るが、暖地では越冬するものもいる。
…と書かれていますが、この北海道道南で私が出会ったのは、5月でした。迷鳥だったのでしょうか?
とにかくラッキーでした!

農耕地や川原、湖沼などで繁殖する。草原の鳥に近く、魚よりも昆虫やカエルなどが主食。牛などの大型家畜や草食動物について歩き、それらにたかる虫や、足元から飛び出すバッタなどを食べます。