花と光と風と…
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シラオイエンレイソウ ・ カワユエンレイソウ  北斗の花   2020  Spring





シラオイエンレイソウらしき
その群落の中に、ひときわ目立つ
不思議な花が…
子房が赤紫色に染まっています

子房とは、被子植物のめしべの下端の膨らんだ部分




このシラオイエンレイソウの株立ちも、群落も、
昨年に比べれば、数分の1の
規模となってしまいました
来年もまた会えるかしら…
この美しい群落が守られますようにと
願っています




 去年の春、この北斗の自然公園を訪れた時の、感動を忘れることはできません。長年、憧れ探し求めた、かの「アオイスミレ」の群落に、ついに出会い、その愛らしい姿をカメラに収めることができました。長年の夢が叶った瞬間でした。そして、その群落の奥に広がる草原と心地よい林床には、かの白花のエンレイソウの大群落が、広がっていたのです。それも、オオバナノエンレイソウ、ミヤマエンレイソウ、(花弁の無い)エンレイソウ、そしてその中に、シラオイエンレイソウや、エゾミヤマエンレイソウ、そしてよく観察すると、カワユエンレイソウらしきタイプも、混じっていました。その時の感動は今でも目をつぶると鮮やかに蘇ってきます。
 今年は、その場所を訪れることに、期待感と同時に、多少の恐れも感じていました。実は去年、アオイスミレや、シラオイエンレイソウの群落との出会いの感動も覚めやらぬうちに、再び訪れた私の目の前に広がったのは、まさかの信じられない光景でした。1~2週間前のお花畑は、ゴルフ場の芝よりも短く刈り取られ、坊主頭と化していたのです。ついこの間まで、見事に咲き誇っていたエンレイソウも、ニリンソウも、アオイスミレの紫色の群落も、何一つ原型を残さず、1本の花も残さない状況となっていました。地上1~2cmを残して、見事にきれいに刈り取られていたのです。誰がこんな無残なことをしたのだろう…と、私はその場に泣き崩れたいほどの衝撃を受けてしまいました。それも、花が枯れる前、そして実を結ぶ前の、人為的な行為でした。ただ景観を整えるという名目だったのでしょうか…。
 今年、勇気を出して再び訪れた私の目に、またあの白いエンレイソウとニリンソウの群落が飛び込んできました。ただ、アオイスミレは、ほぼ壊滅状態でした。そして白い花のエンレイソウも、その規模をかなり縮小していました。昨年は、圧倒するほどの広大なエンレイソウの群落を形成しつつあったこの場所も、今年は、去年の数分の1にも満たないほどに小さなものになってしまったことに、悲しさを覚えてしまいました。
誰か心ある人が、声を上げ、守っていくことができるようにと願ってやみません。






日の光を浴びて
ソメイヨシノの花が、喜びの
シンフォニーを奏でていました









エゾミヤマエンレイソウ (蝦夷深山延齢草)
学名:Trillium tschonoskii var.atrorubens
エゾミヤマエンレイソウは、
ミヤマエンレイソウの変種、
子房全体が暗い紫色をしているのが特徴。



 




シラオイエンレイソウ (白老延齢草)
シュロソウ科エンレイソウ属
学名:Trillium x hagae

シライオイエンレイソウは、
子房の先だけ、濃紫色です







 




シラネアオイ  (白根葵)
学名:Glaucidium palmatum Siebold et Zucc.
キンポウゲ科(シラネアオイ科)シラネアオイ属





 



シラオイエンレイソウ (白老延齢草)
シュロソウ科エンレイソウ属
学名:Trillium x hagae

花弁は大きく、長く
花弁も、葉身も、波打っています






この北斗の白花のエンレイソウ
どう見ても、
オオバナノエンレイソウには
見えません




 
 




シラオイエンレイソウ?らしき軍団
その中に、赤実のエゾミヤマエンレイソウ…
そして、右手前には
赤い(花片の無い)エンレイソウ
全部、一斉に咲いています!

近くには、オオバナノエンレイソウと
ミヤマエンレイソウも…
 




こちらも、 どうひいき目に見ても
オオバナノエンレイソウ
…には見えませんね?





 




がく片より長い白い花弁
子房(めしべ)の上部は暗紫色
…でも、
おしべと花弁の先は尖っていて、
花弁も葉身も波打っています




( シラオイエンレイソウの母種)
↓↓


オオバナノエンレイソウ  (大花延齢草)
学名: Trillium kamtschaticum
Trillium camschatcense


花弁はより丸みを帯び、先端もあまり尖らない。
がく片もゆるやかに先細ります。
シラオイエンレイソウの群落のすぐそばには
その母種であるオオバナノエンレイソウの
小群落があります

 
(シラオイエンレイソウのもう一つの母種)
↓↓


ミヤマエンレイソウ  (深山延齢草)
学名: Trillium tschonoskii

花弁も、子房(めしべ)も、
おしべも、全て純白です!
そして花弁は横向き、or 下向き、がく片の先は
指でつまんだように尖っています
特徴的なのは
花弁も葉身も ワイルドに波打っていること

 




シラオイエンレイソウ
…と思われる株立ちのもの

花弁も葉身も、大きく波打っています
さしずめ、北斗エンレイソウ
…では、いかが?




















 


カワユエンレイソウ  (川湯延齢草)
学名: T. channellii

もう一つ、ここ北斗で見つけたのは、
「カワユエンレイソウ」らしきタイプ





これも、まるで
カワユエンレイソウ
そっくり…

カワユエンレイソウの母種(親)である
オオバナノエンレイソウと、
ミヤマエンレイソウが、
すぐそばに、混在しています





こちらは、正真正銘の
カワユエンレイソウ
川湯温泉地区の本物です!

がく片の形
子房の先端の赤紫色
丸い形の良い花弁
…そっくりです
 




シラネアオイ(白根葵)の群落







 




またまた、どこか不思議な
エンレイソウ

よく見てみると、
花弁(花びら)が4枚…あります!



 




ここ道南の特異性は、
通常、開花時期が異なる
エンレイソウ、オオバナノエンレイソウ、
ミヤマエンレイソウなどが、
一斉に同時期に、開花することが多い為、
それぞれが交配、交雑する機会が
多いことだと思われます

 




ソウヤノエンレイソウ? (宗谷延齢草)

こちらと比較して確認を!

ソウヤノエンレイソウ(孝遊子のブログ)
↑ ↑ ↑
こちらのページにありました!



ソウヤノエンレイソウ ?

やはり、子房の先が黄緑色ですが…?







ミヤマスミレ (深山菫)









オオバキスミレ

愛らしいツインズですね!









あなたは一体、だれ?
オオバナノエンレイソウ…でなく
ミヤマエンレイソウ…でなく
エンレイソウ…でなく
シラオイエンレイソウ…でもなく
カワユエンレイソウ…でもない!

様々な種の混じり合ったハイブリッドですね!





チシマエンレイソウ

子房全体が真っ黒になるものを
チシマエンレイソウといいます
道央(札幌圏)では、時々出会います

札幌圏の原生林で出会いました






エゾミヤマエンレイソウ

子房全体が深紅色です。
北斗市のシラオイエンレイソウ群の中に
混じっていました