♪ 小さな私塾の先生から見た子ども達、風景、異文化の世界 ♪
花と光と風と…
Index
  ギンリョウソウ & …モドキ   2021





ギンリョウソウ   銀竜草
ツツジ科ギンリョウソウ属
学名:
Monotropastrum humile
Monotropastrum : (Monotropa, シャクジョウソウ属)
+(astrum (似る)
humile : 低い、小さな

6月初旬 撮影
春~初夏
別名 「ユウレイタケ」






ギンリョウソウモドキ  銀竜草擬
ツツジ科シャクジョウソウ属
学名: 
Monotropa uniflora
英名:
Indian pipe

9月初旬 撮影
秋に出現
別名 「アキノギンリョウソウ」

近年では、「腐生菌」ではなく、「菌従属栄養性」(=葉緑素を持たず菌から栄養を受け取って生きている)、または、「菌従属性栄養植物」
という説明が主流となってきているようです。









 先回の「・・・モドキ」ついでに、今まで気になっていた「ギンリョウソウ」と「ギンリョウソウモドキ」に、今回はスポットライトを当ててみました。
 ギンリョウソウは、別名「ユウレイタケ」と言われるように、草木の生い茂った暗い森の中にぼ~っと白く浮かび上がる姿は、神秘的です。そして葉緑素が無いため、一見するとキノコの仲間かと思われやすいようです。また中国では「水晶蘭」と呼ばれています。

 どちらも日影を好み、葉緑素を持たない腐生植物ですが、それぞれの違いは端的に言うと、

①ギンリョウソウ:(花期:5~8月)
 別名:ユウレイタケ
 ツツジ科ギンリョウソウ属
 果実は液果(水分が多く、軟らかい果実)

②ギンリョウソウモドキ:(花期:9~10月)
 別名:アキノギンリョウソウ
 ツツジ科シャクジョウソウ属
 果実は蒴果(乾燥果)

 更に調べてみると面白い事が分かりました。
このギンリョウソウとギンリョウソウモドキは、他の「…モドキ」とは「主従関係」が逆転しているのです。学術上、動植物につける世界共通の名称はラテン語表記ですが、その学名によれば、ギンリョウソウモドキの方が、それが属するシャクジョウソウ属の代表(主)であり、ギンリョウソウの方が「そのギンリョウソウモドキに似た者という意味合いになります。つまり「主・従」が逆転しているのです。面白いですね!

 …ところが、一度はギンリョウソウの学名が「Monotropastrum humile」であり、その中の単語Monotropastrum」の語源(語尾)の「astrum」が、(~に似る)だと突き止めたはずだったのに、その後いくら調べても、astrum」はギリシャ語で、「星、星型、星状starを意味する"astron"が由来」という解説ばかりが出てきます。
 その後の調べで、「植物生態学、環境保全学」のラテン語(ギリシャ語)関連のページの中に、ようやく「植物の学名」に関する解説を見つけました。

その『属名(genus name)』という項目の中に、
ナス科のホオヅキ属の名前の説明として、
  Physaliastrum n<gn Physalis (gn) + astrum (似る) = Physalis属に似た。ナス科

…という解説がありました!
これで、「astrum」= (似る) で良いのだと確信しました。ひとまず安心です。
  


  ギンリョウソウ・・・(別名:ユウレイタケ)
   (「…モドキ」と比較すると、やや小型で、より白く、より透明感があり、時にピンク色に染まる)
   (栄養摂取には、光合成の代わりにベニタケの仲間を利用する)


岩手山  6月  2007 ベニタケ 
岩手 早池峰山  7月  2008 函館の森林で  8月   2018
函館の森林  8月  2018 函館山  8月   2016
野幌森林公園    6月  2021 野幌森林公園    6月  2021

 ギンリョウソウモドキ・・・(別名:アキノギンリョウソウ)
  (白色だが、ややうっすらと褐色を帯び、透明感が薄い。やや背丈が高くなる傾向あり)


函館近郊の湖のほとり  9月 函館近郊の八郎沼  9月  2017
函館近郊の八郎沼  9月 ほぼ中央奥には茶色になった前年の蒴果が…
腐生植物の仲間

山地の落葉樹林下に生える植物には、葉緑素を持たず、光合成をして栄養を作り出すことを
やめてしまったものが存在します。代わりに根に菌を住まわせ、菌から栄養をもらい生きているのす。
以下のツチアケビやオニノヤガラなどは、きのこのナラタケ菌と共存して栄養をもらっています。
その他にも様々なものとの共生の中で生きていて「菌従属性栄養植物」と言われる所以です。


ナラタケ(腐生菌)の仲間 ツチアケビ
つぼみ⇒開花
ツチアケビ
開花後の果実
ナラタケ(腐生菌)の仲間
オニノヤガラ サカネラン
モイワラン サイハイラン