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  エンレイソウ属 Ⅳ 2018 (世界編)

エンレイソウ系譜
エンレイソウ系譜 Ⅱ 2018 (赤花編)
エンレイソウ系譜 Ⅲ 2018 (白花編)
エンレイソウ系譜 Ⅳ 2018 (世界編)


世界のエンレイソウ (北海道大学植物園 )


 Trillium Grandiflorum
トリリアム グランディ フロルム
カナダ東部からアメリカ合衆国北東部に
広く分布


 
 Trillium Grandiflorum
トリリアム グランディ フロルム
カナダからアメリカ合衆国東部


  
Trillium Erectum
トリリアム エレクトウム
カナダからアメリカ合衆国の一帯


 
Trillium Sulcatum
トリリアム・サルカツム
ウェストバージニア・バージニア州


 
Trillium Rugelii
トリリウム・ルゲリー
ノースカロライナ州・サウスカロライナ州
テネシー・アラバマ・ジョージア州

 
Trillium Cuneatum
トリリウム・クネアツム



 
Trillium Luteum
トリリウム・ルテウム
ノースカロライナ州、ケンタッキー州
テネシー州、ジョージァ州


 
Trillium Recurvatum
トリリウム・リカルバツム
ミシガン・ウィスコンシン・イリノイ・インディアナ・
オハイオ・ケンタッキー・テネシー・アラバマ州etc.


  
 
北海道中札内のお庭に咲いていた
八重咲エンレイソウ

日本には自生しません


  
 これらは数年前に、札幌の北大植物園で行われた「世界のエンレイソウ展」に特別展として展示されていたエンレイソウ達です。他の植物に興味が惹かれて急いでいた為、気を込めた撮影ではなかったことが、今となっては後悔するばかりです。せっかくのチャンスだったのに・・・。残念です。

 この一番上段の中央と左の写真は、Trillium Grandiflorumトリリアム グランディ フロルム)という名で、カナダのオンタリオ州の州花とされています。和名では、「タイリンエンレイソウ(大輪延齢草)」と呼ばれます。その意味合いから、日本のオオバナノエンレイソウと同じかと思いましたが、少し違うようです。オオバナノエンレイソウは、学名がTrillium camschatcenseと言い、ロシア領のカムチャッカらしき名がついています。面白いと思いました。

 この淡くうす紫色に染まったTrillium Grandiflorumの三枚の花びらを持つ不思議な花に心惹かれたのは、遠い昔、カナダのトロントで見かけたポストカード(葉書)の写真としてでした。その時の花が、この花だったのですね。残念ながら、長いカナダでの生活で、実物のこの花に出会うことはありませんでした。でも今、この北海道の地で、日本中に自生するエンレイソウ属の全てに出会えるチャンスに恵まれ、私の心は弾んでいます。
 
 


   
シュロソウ科の花たち (シュロソウ:Veratrum maackii)


 


シュロソウ 
ユリ目、Liliales
シュロソウ科、Melanthiaceae
本州〜北海道の山中の林内や草原などにはえるユリ科の多年草。茎は高さ50〜100cm,下半部に狭披針形で長さ20〜35cmの葉を少数つける。夏〜秋,茎頂に花穂を円錐状につけ,径1cm内外で濃紫褐色花を多数開く。花被片は6枚。有毒植物で,バイケイソウ同様殺虫剤に利用した。茎の基部にシュロ状の毛があるのでこの名がある。
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エンレイソウ属は、しばらく前までユリ科とされてきました。現在は、『ユリ目シュロソウ科エンレイソウ属』とされています。そこで「シュロソウ」とは一体何?・・・と気になりました。図鑑を調べ、私自身の数年間の写真の在庫を調べたところ、ありました、ありました。
こんなに素敵なお花だったのですね。
花の色は、「濃紫褐色」とされていますが、暗めのワインレッド、もしくはチョコレート色とでもいえましょうか。
でも、あまりエンレイソウには似ていないような・・・?

  

シュロソウ 

   
   
 


   
ツクバネソウ Paris tetraphylla ・クルマバツクバネソウ Paris verticillata M.Bieb. (シュロソウ属)


ツクバネソウ

 
 

ツクバネソウ(衝羽根草)
学名:Paris tetraphylla A.Gray
根茎は細く、茎の高さは15-40cmになる。葉は4個が輪生し、葉身は長楕円形で、長さ4-10cm、先端はとがり、葉柄はなく、葉の縁は全縁になる。花期は5-8月で、茎の先端に1個の、淡黄緑色の花を上向きにつける。花柄は長さ3-10cm。外花被片は披針形で、長さ10-20mm、緑色の萼状、内花被片はない。雄蕊は8個あり、花糸は長く、葯は線形で長さ3-4mm、同属のクルマバツクバネソウと違い、葯隔は葯から突出しない。花柱は4個に分枝する。果実は液果で、秋に1cmほどの羽根突きの羽子に似た実が黒紫色に熟す。

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 エンレイソウが属するシュロソウ属の仲間に、ツクバネソウと、クルマバツクバネソウがあります。
エンレイソウの葉や花を全て4数にしたような植物です。どちらも同じユリ目シュロソウ属ののツクバネソウ Paris tetraphyllaと、Paris verticillata です。この属名はギリシャ神話に登場するトロイの王子パリスに由来し、数種類が東アジアとヨーロッパに産します。

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クルマバツクバネソウ(車葉衝羽根草)
学名:Paris verticillata
ユリ科ツクバネソウ属の多年草。

茎の高さは20-60cmになる。葉は6-8個が輪生し、葉身は倒披針形で、長さ5-15cm、幅1.5-4cmになり、先端は鋭くとがり、葉柄はなく、葉の縁は全縁になる。

花期は6-7月。茎の先端に花柄を長く伸ばし、1個の淡黄緑色の花を上向きにつける。花は直径4-6cmになり、外花被片は4個あり、披針形から狭卵形で、長さ3-4cm、緑色の萼状。内花被片も4個あり、糸状で黄色を帯びる。雄蕊は8-10個あり、花糸は線形で、葯は長さ5-8mm、葯の先端に葯隔が長く伸びる。花柱は4個に分枝する。果実は液果で、秋に羽根突きの羽子(はご)に似た実が黒紫色に熟す。 (Wikipedia)

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今までは、他のお花探しの最中に、とりあえず撮っていたのですが、これからは要注目です!
お正月の羽子板で突く羽根の玉のような実が、秋には見れたらいいな・・・と願っています!

その後…、9月になって…ついに遭遇!
   ツクバネソウの大きな実です

 
 
 

クルマバツクバネソウ 
 
   

 5つ葉のツクバネソウです!
 


   
バイケイソウ Veratrum album subsp.  ・コバイケイソウVeratrum stamineum Maxim.

 
コバイケイソウ


コバイケイソウ

 
コバイケイソウ(小梅蕙草)
学名:Veratrum stamineum
ユリ科シュロソウ属の多年草。
新しいAPG植物分類体系では、シュロソウ属は、ユリ目メランチウム科に分類される。 (Wikipedia)

山地草本の中では大型で、高さは1mほどになる。6月から8月に穂の先に白い花をつける。花茎の先端部は両性花、横に伸びる花は雄花である。群生することが多く、初夏の山を代表する花の一つ。光沢があり、硬く葉脈がはっきりとした長楕円形の葉が互生する。

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バイケイソウ(梅蕙草)
学名:Veratrum album subsp. oxysepalum(Turcz.) Hultén)は、ユリ科シュロソウ属に属する多年草。APG植物分類体系ではユリ目メランチウム科に分類される。
開花時期は、6-8月。直径1.5-2 cmほどの緑白色の花を房状に多数つける(茎の上部に大形の円錐花序となる。。6枚の花被片は長さ1-1.5 cm程の細卵形でその先尖り、雄しべはその半分程の長さ。開花期の草丈は0.6-1.5 mとなる。葉は長さ15-30 cm、幅10-20 cmの広楕円形-長楕円形で、その先が尖る。この和名は、花がウメ、葉がケイランに似ていることに由来する。                    (Wikipedia)





コバイケイソウ
 

 バイケイソウ



   
キヌガサソウ Kinugasa japonica


キヌガサソウ



メランチウム科(またはシュロソウ科)キヌガサソウ属に分類される多年草の1種。学名の種小名(japonica)は、日本を意味し、和名は、放射状に並ぶ葉の様子を奈良時代の高貴な人にさしかけた衣笠に見立てたことに由来。

傘のように広がった葉の中心から長さ3.5-7 cmの花茎を伸ばし、大きな花を1個つける。開花時期は6-8月。花の直径は6-7cm、白い花弁のように見える大きな外花被片(萼片)は6-11個あり、初め白色で、花のあとに紅紫色に、果期に薄緑色になる。内花被片は外花被片と同数で、白色で長さ10-15 mmの糸状で目立たない

クルマバツクバネソウに近似した種であるが、特異な形態で近縁種はない。2010年10月7日に英国のキュー王立植物園は、日本固有の「キヌガサソウ」がこれまでに記録された範囲では細胞1つ当たりのゲノムサイズが最大の種であると研究報告した。

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この花は、かれこれ10年ほど前に、岩手の八幡平の奥にある密林(ジャングル)地帯に踏み込んだ時に出会いました。クマが出るか、蛇が出るかの怖さと戦いながら遭遇した時は、本当に感動しました。目の前の沼の上には大きく張り出した木々の枝に、天然記念物のモリアオガエルの大きな卵塊が、沢山ぶら下がっておりました。
エンレイソウよりはるかに大きく、葉の長さは20~30cm、花の直径は10cmはあると思います。
調べたところ、北海道には自生していないようですね。
青森県が北限です。
 

キヌガサソウ 群生




   
エンレイソウ属 ★花後 ★その実



様々なエンレイソウ属が咲き乱れる昼下がりの森を散策していた時、ふと木洩れ日を浴びて輝く一群のエンレイソウが目に入りました。それは、既に盛りを過ぎたオオバナノエンレイソウでした。
普段なら、枯れかけた花は被写体にならないと思い、スルーしてしまうのに、何故かこの花には惹かれるものを感じてしまったのです。

花盛りの一番美しい時期を経て、間もなく人生の終わりを迎えようとしている大女優が、最後の舞台のスポットライトを浴びて、誇らしげにファン達の喝采を浴びている・・・そんなシーンを思い浮かべました。
純白の貴婦人、オオバナノエンレイソウの、誇らしげな最後の舞台です。
その胸には、どれほどの過去の栄光に満ちた、そして時には苦節に満ちた思い出が去来したことでしょう。
老いてもなお、この神々しさ・・・!
本当に美しいなと思いました。

懸命に、ひたむきに生ききった、まさに『花の生涯』・・・ですね。そしてその命は継承していくのですね。

 
 
 

クロミノエンレイソウ


アオミノエンレイソウ

 



   






  





   





 

 (続きをご覧ください!) (ページの容量の関係で、分割しました)
エンレイソウ系譜
エンレイソウ系譜 Ⅱ 2018 (赤花編)
エンレイソウ系譜 Ⅲ 2018 (白花編)
エンレイソウ系譜 Ⅳ 2018 (世界編)
 

*参考資料
・新版『北海道の高山植物』 梅沢俊 (北海道新聞社)
・北海道 春の花 『絵とき検索表』 梅沢俊
・「エンレイソウ属の花たち」(ファウラ)本間秀夫/大原雅
・「エンレイソウ」(Wikipedia オンライン辞書)
・花を愛してやまない山野草愛好家の皆様のブログも参考にさせていただきました。

掲載した写真は、全て私(このHP管理主)が撮影しました。著作権は当方に帰属します。