♪ 小さな私塾の先生から見た子ども達、風景、異文化の世界 ♪
花と光と風と…
Index
  エンレイソウ系譜 X 2019 (道南編)
エンレイソウ系譜
エンレイソウ系譜 U 2018 (赤花編)
エンレイソウ系譜 V 2018 (白花編)
エンレイソウ系譜 W 2018 (世界編)

エンレイソウの思い出 2010
エンレイソウ道南1
エンレイソウ道南2
エンレイソウ十勝
エンレイソウ広尾
エンレイソウ野幌
エンレイソウ道央
エンレイソウ川湯
ミヤマエンレイソウ
シラオイエンレイソウ
コジマエンレイソウ

 (後で、エンレイソウ中心
  に編集予定です)
 



シラオイエンレイソウ (北斗)

白花、花片が波打っている
大型で株立ちしている
花弁もがく片も、先がかなり
尖っている

 


コジマエンレイソウ (函館山)

赤花で子房と雄しべが同じ長さ
ワインレッドのきれいな花弁が
3枚そろっているものが多い
 


チシマエンレイソウ (北斗)

子房の部分が暗紫色
シラオイエンレイソウの群生の
中に発見



トカチエンレイソウ ?(函館)

雄しべは短い
がく片は緑色に淡紅紫色を帯び
ゆるやかに先が尖る
花弁は不完全が多い
子房が長めで円錐形




カワユエンレイソウ (北斗)

オオバナノエンレイソウより花弁は
小型で丸く、子房の先が赤紫色
川湯地方で見たものと酷似



コジマエンレイソウ (函館山)

雄しべは雌しべと同長か、やや短い
雄しべの葯は花糸よりも長い
子房はクリーム色で、角ばった卵形

がく片の先はとがらない



ミヤマエンレイソウ (函館)

白花、子房、雄しべ、全て純白
花弁とがく片が同じ長さ
花弁も、がく片の先も、
指で摘んだように尖る


 
 


トカチエンレイソウ?(乙部)

コジマエンレイソウに似るが
雄しべが短い
がく片は緑色に淡紅紫色を帯び
その先は次第に細く鋭くなる
子房は角ばった卵形

 


ソウヤノエンレイソウ (北斗)
宗谷延齢草

オオバナノエンレイソウ似だが
子房の先が緑色





ヒダカエンレイソウ?(北斗)

雄しべが短い
がく片は緑色に淡紅紫色を帯び
その先は次第に細く鋭くなり
三角状にとがる

花弁が不完全な場合が多い
花は横向き、やや下向き

 
 


オオバナノエンレイソウ (函館)

雄しべが雌しべより長い
子房の先が暗紫色
花弁はがく片より長く大きい
がく片は長い長楕円
花弁やがく片の先は尖らない

 


トカチエンレイソウ ?(函館)

雄しべが短い
子房が長めの円錐形
がく片の先がゆるやかな三角形
花弁が不完全な場合が多い


   

北海道全土には、日本中に自生する全種9〜14種が見られるといわれます。
その中で、幻のエンレイソウとも言われる「トカチエンレイソウ」(赤花)以外は全部クリアしました。そして、遺伝子解析しないとわからないといわれるシラオイエンレイソウの「三倍体、六倍体」など、まだまだわからないことも沢山あります。
シラオイエンレイソウは、最初に発見されたのが白老地区だったために、「シラオイエンレイソウ」と名づけられ、その発見者である芳賀教授(北大出身)の名前を取って、学名には、「Trillium hagae」と名づけられたとのことです。この道南の北斗市に、このシラオイエンレイソウと、エンレイソウと、その他いくつかのエンレイソウ属が混生するエリアを見つけました。その見事な美しさに、しばしうっとりと癒しの時を過ごさせてもらいました。とりわけ、この地のシラオイエンレイソウの美しさたるや本当に見事だと思います。数年前に見かけた時は、大きな白い花弁をやや上向きにして群生で咲き誇っていて、その子房の先は、暗紫色のため、当然のように「オオバナノエンレイソウ」だと信じて疑わなかったのです。けれど翌年、その翌年と通ううちに、その白い花弁や、広卵状菱形の葉がとても見事に波打ってフレアー状態になっている事に気づき、これは「シラオイエンレイソウ」だと思いました。それぞれが「株立ち」している点も顕著です。
また、この道南地区、とりわけ函館周辺に、見事に群生している「コジマエンレイソウ」は、遺伝子の親和性が良いからか、他の赤い花弁を持つ「ヒダカエンレイソウ」や「トカチエンレイソウ」と違い、ほとんどが3枚のワインレッド色の美しい花弁がそろった見事な姿です。

赤い花弁を持つエンレイソウ3種の起源は、
@コジマエンレイソウ:親は、オオバナノエンレイソウ & エンレイソウ
Aヒダカエンレイソウ:親は、ミヤマエンレイソウ & エンレイソウ
Bトカチエンレイソウ:親は、オオバナノエンレイソウ & エンレイソウ
このうち、コジマエンレイソウと、トカチエンレイソウは、親のオオバナノエンレイソウの形質を受け継いでいます。



シラオイエンレイソウ( 白老延齢草、Trillium hagae

   










(比較の為) オオバナノエンレイソウ
 
シラオイエンレイソウは、白い花弁をもつ代表格の「オオバナノエンレイソウ」と、「ミヤマエンレイソウ」の自然交配種と言われています。
特徴としては、
花弁はがく片よりはるかに長く、
子房は普通、先端部が濃い紫色で、
その下に斑点か筋がある
雄しべは雌しべ(子房)よりも短い
(雌しべが雄しべより大きく突き出す)
全体的に大型で、株立ちになる。
花弁と葉のふちが、波立ちになる傾向がある。
-------------------------------------------

良く似た形質をもつ「オオバナノエンレイソウ」と比較してみると、「シラオイエンレイソウ」は、がく片も、花弁も、その先端が指でつまんだように鋭くとがっているという点があげられるように思います。

オオバナノエンレイソウのがく片は、とりわけ他のエンレイソウ属の中でも、長楕円形で先は緩やかに細くなっています。しかしながら、シラオイエンレイソウは、がく片の先が、指でキュッと摘んだように細くとがっているのが顕著です。これが今回の発見でした。すなわち、シラオイエンレイソウは、もう一つの親である「ミヤマエンレイソウ」の「先がとがる」という形質を色濃く受け継いでいるのだと思われます。今までオオバナノエンレイソウだと、疑いなく思っていたものも、見直しが必要だと感じました。
もうひとつの特徴は、この花弁の美しいフレアーです。今までに見たこともない程に波打つ花弁は必見です。
          


   
エンレイソウ(延齢草、Trillium smallii

 


 



 -----------------------------------------





 
クロミノエンレイソウ  アオミノエンレイソウ 
アカミノエンレイソウ


 
   
     
   

 
 


   
コジマエンレイソウ(小島延齢草、学名:Trillium Amabile

   
     
   
   
   
   
           変わり者  
  全て2の倍数で、葉が2、ガク片が2、花弁が2です




   
ヒダカエンレイソウ(日高延齢草、学名:Trillium miyabeanum )

   

    
   
   
   
 
 
   

   
トカチエンレイソウ(十勝延齢草、学名:Trillium x yezoense ) (未同定)




 -----------------------------------------

 
   
     



   
(未同定) 赤い花のエンレイソウ




 -----------------------------------------

 
   
     
 

エンレイソウ系譜
エンレイソウ系譜 U 2018 (赤花編)
エンレイソウ系譜 V 2018 (白花編)
エンレイソウ系譜 W 2018 (世界編)
*参考資料
・新版『北海道の高山植物』 梅沢俊 (北海道新聞社)
・北海道 春の花 『絵とき検索表』 梅沢俊
・「エンレイソウ属の花たち」(ファウラ)本間秀夫/大原雅
・「エンレイソウ」(Wikipedia オンライン辞書)
・花を愛してやまない山野草愛好家の皆様のブログも参考にさせていただきました。

掲載した写真は、全て私(このHP管理主)が撮影しました。著作権は当方に帰属します。